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パッサージュから名所廃墟「タヘレス」へ −− 建物の一生をたどる写真展

Posted by osanpoberlin on 13.2017 Museen/Galerien ミュージアム・ギャラリー   0 comments   0 trackback
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2017年1月現在の廃墟タヘレス。ベルリンのど真ん中にあるんですよ


「おさんぽベルリン」をご覧の皆さんなら、きっと一度は「タヘレス」という言葉を聞いたことがあるでしょう。そう、ミッテ地区にある、アーティストたちが占拠してした廃墟です。2012年に人々は一掃されて立入禁止になりましたが、それまではベルリンの象徴として、観光客が押し寄せる名所になっていました。

 私(ライター久保田由希)がベルリンに住み始めた頃のタヘレスは、暗くて、臭くて、ボロッボロ。でもその臭い階段を上ると、そこにはアトリエやバーや映画館があって、初めて足を踏み入れたときは「うゎ、なにここ。おもしろ〜い」と興奮しましたね。

 タヘレスは、当初は百貨店として建てられたものだと聞いていましたが、それ以上のことは詳しく知りませんでした。
 そんなとき、ドイツ技術博物館でタヘレスの写真展"Vom Kaufhaus zum Tacheles - die Friedrichstraßen-Passage"が現在開催中と聞き、この機会にタヘレスの歴史を知りたいと出かけてきました。

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ドイツ技術博物館は常設展も超おもしろいです。昔の鉄道とかあって、テーマパークみたい

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写真展の展示室を探すのがけっこう大変でした


 展示室は、とにかく広いドイツ技術博物館の中の一室。会場には、建物ができた1908年から廃墟と化した現在までの写真と図面が、整然と陳列されています。

「タヘレス」というのは廃墟になってから付けられた名前で、1908年にこの建物が完成した当初は「フリードリヒ通りパッサージュ」という名でした。
 パッサージュとは、優雅なアーケード商店街。今ならショッピングモールが近い形態かもしれません。
 現在残っているタヘレスの建物は当時のパッサージュのごく一部で、全体はもっと広かったんです。

 オープン当時に撮られた写真を見ると(このような写真が展示されています→http://sdtb.de/technikmuseum/ausstellungen/2599/)まるで宮殿のようで、歩くだけでも楽しそうだな〜と思います。
 吹き抜けのドームの屋根があって、建物の中に「リアルト橋」(これは当然ながら、ヴェネツィアにある同名の橋がモデルになっているのでしょう)があって……。建材にはモザイクタイルやマホガニー、大理石などが使われ、贅を尽くした内容でした。

 この写真を見て私の頭に瞬時に浮かんだのが、ライプツィヒのパッサージュです。下の写真は、ライプツィヒに現在もあるパッサージュ。ね、ちょっと雰囲気が似ていませんか?

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ライプツィヒのMädler Passage。天井はガラスドーム


 ライプツィヒにパッサージュができたのも、やはり20世紀前半。この頃のドイツの都市は大発展を遂げている最中でした。

 その理由の一つとしては、1870〜71年に起きた普仏戦争(プロイセン=ほぼドイツv.s.フランス)で勝利したドイツ側がフランスから多額の賠償金をせしめ、そのお金が国内の産業に投資されたからなんです。当時のドイツは産業革命の時代に入っていましたが、賠償金が入ったことで産業の進歩が一層スピードアップする結果となったんですね。
 そんなわけで19世紀後半から20世紀前半にかけてのドイツは、道路・鉄道・建築などが急速に発展したんです。優雅なパッサージュも、そういう時代に生まれた建築です。
 当時生きていたら、きっと次から次へと新しい建物が生まれて、刺激的だったでしょうね。

 さて、ベルリンの「フリードリヒ通りパッサージュ」は、その後1928年にドイツの家電メーカーAEGの「技術の家」として、リニューアルオープンしました。販売や展覧会などが開かれたそうなので、ショールーム的存在だったのでしょう。
 展示写真からは、パッサージュ時代から建物が少し改装されたことがわかります。建物にはAEGの技術力を誇示するように、派手なネオンが光っています。この「技術の家」は、第二次世界大戦終戦となった45年まで存続しました。

 建物は戦争で部分的に破壊されたので、80年代前半に大部分が壊されました。90年に残りの部分も取り壊される予定だったのですが、その前にアーティストたちが残った部分を占拠してしまったんです。
 そこからは冒頭に書いたように、「タヘレス」として2012年までベルリンの象徴的存在となっていました。

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2003年当時のタヘレス


 今後タヘレスは、現在ある建物の周囲も含めて、新たな文化の拠点として生まれ変わる予定です。そのプランにはヘルツォーク&ド・ムーロン建築事務所らが関わっています。
 ヘルツォーク&ド・ムーロンといえば、プラダ ブティック青山や、先月1月にようやくハンブルクに完成したばかりのエルプ・フィルハーモニーなどで知られています。どう生まれ変わるのか、楽しみですね。

 こうして建物ひとつ見るだけでも、ベルリンという都市が歩んできた歴史が垣間見えます。廃墟タヘレスが閉鎖されたときは、一時代の終わりを感じましたが、それは同時に次へのスタートでもあるわけですよね。そうして時は積み重なっていくのだと思います。

 私は日本にいた頃は、歴史なんてまったく興味がありませんでしたが、ここベルリンでは事あるごとに歴史を感じざるを得ません。それも間違いなくベルリンの魅力の一つだと思います。

 ちょっと長くなっちゃった。読んでくださってありがとうございます。
 (text and photo_Yuki Kubota)

タヘレス写真展 "Vom Kaufhaus zum Tacheles - die Friedrichstraßen-Passage”
会場 Deutsches Technikmuseum Berlin ドイツ技術博物館
住所 Trebbiner Str. 9, 10963 Berlin(クロイツベルク地区)
会期 2016年10月12日〜2017年4月4日
URL http://sdtb.de/technikmuseum/ausstellungen/2599/(展覧会ページ)
http://sdtb.de/technikmuseum/startseite/(博物館トップページ)
営業時間 火−金 9:00-17:30 土日 10:00-18:00
定休日 月
入場料 大人8ユーロ(博物館の通常の入場料。写真展のみの入場料はナシ)

タヘレスの建物自体の住所(入場不可) Oranienburger Str. 54, 13437 Berlin(ミッテ地区)


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